YouTubeなど動画コンテンツにおいて音声は重要な要素です。声や環境音を適切に処理できているかどうかで、動画に対する好感度がかなり変わってきます。
最近は、安くて高性能なレコーダーがたくさん発売されていますが、はじめてレコーダーを選ぶには、機能や種類があって迷ってしまうこともあるのではないでしょうか。
この記事では、初心者に向けた音声レコーダーの選び方の基本ポイントや、おすすめの機種をご紹介します。
音声レコーダー選びのポイント
ポイント1:録音形式
レコーダーの録音形式には、大きく分けて「ICレコーダー」と「PCMレコーダー」があります。
どちらも音を録音する機材ですが、ICレコーダーは主に手軽に音をメモするためのレコーダーで、録音した音を軽いファイルに圧縮し保存します。当然データを圧縮するときに音質が劣化してしまいます。また、圧縮されたファイルは、後からノイズを除去したり加工することが難しく、動画コンテンツの音素材としてはあまり使われません。
一方、「PCMレコーダー」は、映画やテレビ、WEB広告などで使う音源の録音に使われる高音質な録音が可能なレコーダーです。録音したデータは圧縮されず元々の音源をできる限り忠実に記録・保存をします。
レコーダーを選ぶ際に、単なる音のメモとして使うのか、音の素材を録るためのなのかによって、録音形式がかわりますので、まずは、どんな用途でレコーダーが必要なのかを判断しましょう。
ICレコーダー
- 主に音声メモや簡単な録音用
- 音質は一般的に低〜中程度
- 圧縮された音声フォーマットを使用
- 価格が安い(数千円〜1万円程度)
- 内蔵メモリや小容量のSDカードを使用
- 操作が非常に簡単
PCMレコーダー
- 高音質な録音が可能
- 非圧縮のPCM(Pulse Code Modulation)形式で録音
- 高いサンプリングレートとビット数(例:32bit、192kHz)
- 外部マイク接続が可能
- プロや半プロの音声収録に使用
- 価格帯は中〜高価(1万円〜数十万円)
- より詳細な音声設定が可能
簡単に言えば、ICレコーダーは「手軽な音声メモ」、PCMレコーダーは「高品質な音声収録」といえます。本記事では主に動画コンテンツ制作者向けに「PCMレコーダー」について取り上げています。
ポイント2:ビット深度とサンプルレート
PCMレコーダーの音質を決める重要な要素が、ビット深度とサンプルレートです。
ビット深度は音の情報量や繊細さを、サンプルレートは音の再現精度を表します。「32bitフロート」は、ささやくような小さな音から大きな音まで、幅広い音量を音割れさせずにクリアに録音できる画期的な性能を持っています。
サンプルレートが高いほど、音楽や音声の微妙なニュアンスをより忠実に記録できます。
ビット深度
- 音の情報量と細かさを表現
- 32bitフロートが最高峰の性能
- 広いダイナミックレンジで音の変化を捉える
- 小さな音から大きな音まで歪みなく録音可能
サンプルレート
- 音をデジタル化する頻度
- 192kHzは最高レベルの音質
- 音楽や音声の微妙なニュアンスを忠実に再現
- 48kHz以上が高品質録音の目安
推奨スペック
- 最低でも24bitのビット深度
- できれば32bitフロート
- サンプルレートは48kHz以上
- 理想は192kHz対応
ポイント3:レコーダーのマイク機能
レコーダーのマイク機能には、大きく分けて「内蔵マイク型」と「外部マイク接続型」、さらに「内蔵+外部マイク対応型」があります。
内蔵マイク型は、レコーダー本体にマイクもついているので、レコーダー単体で音声を録音することができます。一方、外部マイク型は、レコーダー単体では録音することができず、別でマイクを用意する必要があります。
もうひとつ、両方を備えたタイプは、内蔵マイクがついていて、さらに外部のマイクを追加することができるレコーダーです。
一見、内蔵マイクが便利そうですが、目的や利用シーンによって向き不向きがあるので、どいうった録音をするのかによって選ぶレコーダーが変わってくると言えます。以下それぞれポイントをまとめました。
マイク内蔵型
- その場で即座に録音できる
- コンパクトで持ち運びやすい
- 簡単なインタビューや会議録音に最適
- 初心者や軽い用途におすすめ
- 汎用性が高い
外部マイク接続型
- 高品質な外部マイクを利用可能
- 専門的な録音や映画制作に向いている
- 音声の用途や環境に合わせて最適なマイクを選べる
- より柔軟で高度な音声収録が可能
- プロや本格的な収録を目指す人におすすめ
内蔵+外部マイク接続型
- 内蔵マイクと外部マイク端子の両方を搭載
- 最も汎用性が高いタイプ
- 状況に応じて録音方法を柔軟に選択可能
- 初心者からプロまで幅広いニーズに対応
- 将来の用途拡大にも対応できる
選択のポイント
- 録音する内容を明確にする
- 求める音質のレベルを確認
- 将来の拡張性も考慮
- 予算に応じて最適な構成を選ぶ
例えば、インタビュー映像を録音する場合、内蔵型のレコーダーだと話者の口に目掛けてレコーダー(マイク)を近づけて録る必要があります。テレビの取材などで記者がマイクを突きつけている様子に近いですね。
通常、インタビューでは、ピンマイクを胸元にセットするか、音源をピンポイントで狙うショットガンマイクを使用するのが一般的です。その場合、「外部マイク接続型」か「内蔵+外部マイク接続型」で、レコーダーとマイクをケーブルで繋く形で録音します。
その他
その他、レコーダー選びのポイントとして無視できない項目に、バッテリー持ちや大きさや重さ、ノイズ対策なども考慮すべき点です。
バッテリー
レコーダーのバッテリーは、乾電池で動くものが多く、電池切れになった場合でもすぐに交換できる点が便利です。
一方で、USB充電やリチウムイオン電池を搭載したモデルは、充電式のためランニングコストを抑えられます。また、録音時間が長時間にわたる場合は、バッテリー接続できるタイプのほうが、途中でバッテリー交換で録音をストップさせるリスクも軽減できます。
経験上、基本的に乾電池で駆動させておき、録音中電源が切れそうになったらUSBから給電できるタイプが最も安心です。また、乾電池からUSBに電源が変わっても録音が継続している状態が理想です。
大きさや重さ
持ち運びのしやすさも重要です。外出先や撮影現場で使用する場合、小型で軽量なモデルを選ぶと負担が減ります。ただし、軽量モデルは内蔵マイクの性能が簡易的であることもあるため、音質とのバランスを考慮しましょう。
ノイズ対策機能
最近の音声レコーダーには、ノイズリダクション機能や風防(ウィンドスクリーン)など、外部ノイズを軽減する機能が搭載されているものもあります。屋外での使用や雑音が多い環境で録音する場合は、このような機能もチェックしましょう。
価格帯別おすすめ音声レコーダー
ここからは、上記を踏まえ僕がおすすめするレコーダーを価格別でご紹介します。
低価格帯:~20,000円台
ZOOM H1essential
ZOOM H1essentialは、手軽に高音質な録音ができる初心者向けレコーダーです。とにかくコンパクトで、ポケットにも収まるサイズ感がながら、高品質な内蔵マイクと高い録音スペックを搭載しています。このサイズだとカメラ本体にマウントしてもそれほど邪魔にならずに使うことができます。
シンプルな操作設定で、電源を入れてすぐに録音を開始することができます。単三電池1本で約10時間の連続録音が可能で、価格も1万円台と手頃で、音質と使いやすさを両立した入門機として最適なレコーダーです。
よく使われるシーン
- 講義やセミナーの録音
- 音声インタビュー
- 楽器の練習や録音
- 動画制作の音声収録(カメラの上に載せることも可能なサイズ)
ビット数とサンプルレート
- 最高96kHzサンプルレート
- 32bitフロート
中価格帯:20,000円〜40,000円台
ZOOM F3
ZOOM F3は、とにかくコンパクトが売りの32bitフロート録音に対応した2ch入力のフィールドレコーダーです。以前にもこの記事「コスパ最高!高性能PCMレコーダー「ZOOM F3」の魅力」で詳しく紹介しています。
内蔵マイクは搭載されていませんが、その分小さくて軽く、手のひらに収まるコンパクトなボディながら、ハイレベルな録音が可能です。
よく使われるシーン
- プロモーション映像のインタビュー
- 動画における環境音
- フィールドレコーディング
- ASMR
ビット数とサンプルレート
- 最高192kHzサンプルレート
- 32bitフロート
TASCAM Portacapture X6
TASCAM Portacapture X6は、スマホみたいに画面を直接操作することができる4.3インチのタッチスクリーンを搭載した高性能PCMレコーダーです。32bit Float録音に対応し、音割れの心配がなくプロの現場でも使われています。
内蔵マイクは、内側と外側の角度を変更することができ、録音する範囲を狭くしたり広くしたりその場の状況によって使い分けることもできまs。
内蔵マイクと、外部マイクを接続することができ、自由度の高い運用が可能です。
よく使われるシーン
- プロモーション映像のインタビュー
- 音楽バンドの録音(6ch同時録音可能)
- ASMR
ビット数とサンプルレート
- 最高96kHzサンプルレート
- 32bitフロート
高価格帯:40,000円以上
ZOOM F6
プロの映像制作の現場でよく使われるZOOM F6ZOOM F6はプロ仕様の録音ができる高性能レコーダーで、32bitフロート録音と192kHz対応が特徴です。
6つの入力があり、複数のマイクを使った録音にも最適です。高価格帯ですが、さまざまな場面で高音質を求める方には非常におすすめです。初心者でも取り扱いやすく、長く使える1台です。
よく使われるシーン
- プロの映像制作での音声レコーディング
- 音楽バンド録音
- フィールドレコーディング
- ASMR
ビット数とサンプルレート
- 最高192kHzサンプルレート
- 32bitフロート
初心者向け音声レコーダーの使い方とコツ
録音環境の設定
音質に影響する周辺のノイズを極力減らしましょう。風切り音を防ぐためにウィンドスクリーンを使用するのも効果的です。
ウインドウスクリーンは、Rycoteというメーカーが防風に優れた製品をたくさん販売しています。まずは、使いたいレコーダーやマイク専用に設計されたRycote製品を探すことをお勧めします。
適切な録音モードの設定
レコーダーによっては、低音域を強調するモードやノイズカット機能などが搭載されています。撮影環境に応じて、最適なモードに設定しましょう。
距離と音量の調整
音声をクリアに録音するには、マイクと音源の距離に注意が必要です。インタビューであれば、話者から約30cm離れた位置がベストです。
また、32bitフロート以外のレコーダーでは、急な大声が入力されても音割れしないように、適切なゲイン(レコーダーに入力される音量)調整を心がけましょう。
目安は一番大きな音がレコーダーのメーターの「-6dB」前後となるようにマイクを設置して、最悪の場合でも-3dBを超えないようにしておくと良いです。
まとめ
音声レコーダーは、動画制作において視覚と同じくらい大切な役割を担います。初心者の方には、シンプルで使いやすいモデルから始め、徐々にステップアップするのがおすすめです。今回紹介した製品はどれもコストパフォーマンスが高く、品質に定評があるものばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
紹介した音声レコーダー
- ZOOM H1essential
- TASCAM DR-10L Pro
- TASCAM Portacapture X6
- ZOOM F3
- ZOOM F6
ぜひ、目的に合った音声レコーダーを見つけて、質の高い動画制作に役立ててください。

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