動画撮影を始めたばかりの方でも、「シャッタースピード」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。シャッタースピードの設定は画質や映像の雰囲気を大きく左右する重要な要素です。さらに、シャッタースピードが適切でないと「フリッカー」と呼ばれるちらつきが発生することもあります。
この記事では、動画撮影におけるシャッタースピードの基本を解説し、フリッカーの対策や「シャッターアングル」の考え方、そしてNDフィルターの役割について詳しくご紹介します。適切な設定と基本を理解して、美しい映像を撮影するヒントを見つけてください。
動画シャッタースピードとフレームレートの関係
動画撮影では、フレームレート(fps)に応じたシャッタースピードを設定することが基本です。
一般的なルールとして、「シャッタースピードはフレームレートの倍」が理想的とされています。この設定は、人間の目で見たときの自然な動きや滑らかさに加え、適度なモーションブラー(動体のぼやけ)を再現するための基準です。
例えば、30fpsで撮影する場合、シャッタースピードを1/60秒に設定することで、映像に自然なモーションブラーが加わり、現実世界の動きをそのまま捉えたような印象を与えます。この適度なモーションブラーが、視覚的に違和感の少ない動画を作るための重要なポイントとなります。
- 24fpsの時=シャッタースピードは1/48
- 30fpsの時=シャッタースピードは1/60
ただし、これが絶対というわけではなく、意図的に設定を変えることで、映像表現に変化をもたせることもできます。
例えば、シャッタースピードを速く設定すると動きがシャープに描写され、アクションシーンやスポーツ映像などでダイナミックさを強調できます。一方で、シャッタースピードを遅く設定すると残像が多くなり、柔らかく映画的な雰囲気を演出することが可能です。用途や表現意図に応じて、基準から調整してみるのも撮影の楽しさです。
フリッカーとは?発生の仕組みと対策
フリッカーは、特に人工光下で動画撮影を行う際に発生するちらつきのことを指します。これは、光源の電力周波数とシャッタースピードが一致しない場合に起こります。
日本やアジアの一部地域では、電力周波数が50Hzまたは60Hzです。この違いによって、適切なシャッタースピードも変わります。
- 50Hz地域(東日本など): シャッタースピードは1/50秒や1/100秒が推奨。
- 60Hz地域(西日本やアメリカなど): シャッタースピードは1/60秒や1/120秒が推奨。
フリッカーを回避するには、これらの周波数に合わせたシャッタースピードを設定するか、光源をフリッカーフリー仕様のものに変更するのが効果的です。
なので、上記した24fpsの時=シャッタースピードは1/48は、厳密には、50Hzや60Hzに一致しないため、フリッカーが発生する可能性が高まります。なので、撮影の環境によっては50Hz地域では1/50秒や1/60秒に変更することで、フリッカーの対策が可能になることも覚えておきましょう。
以下は主要な地域での電力周波数(Hz)をまとめた表です。
| 地域 | 電力周波数(Hz) | 備考 |
|---|---|---|
| 日本 | 50Hz(東日本) 60Hz(西日本) | 東西で異なるため注意が必要(静岡県富士川以東は50Hz、以西は60Hz)。 |
| 韓国 | 60Hz | 日本の西日本と同じ。 |
| 中国 | 50Hz | 全土で統一されている。 |
| 台湾 | 60Hz | 周波数はアメリカや西日本と同じ。 |
| 東南アジア | 50Hz | タイ、マレーシア、インドネシアなど多くの国が50Hzを採用。 |
| アメリカ | 60Hz | 全土で統一されている。 |
| カナダ | 60Hz | アメリカと同じく全土で統一。 |
| メキシコ | 60Hz | アメリカと同様の規格。 |
| ヨーロッパ | 50Hz | イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなど主要国を含む全域で50Hzを採用。 |
| オーストラリア | 50Hz | 国内で統一されている。 |
| ニュージーランド | 50Hz | オーストラリアと同じ。 |
| ロシア | 50Hz | 全土で統一されている。 |
| インド | 50Hz | 全域で50Hzを採用。 |
| 南アフリカ | 50Hz | 他のアフリカ諸国も多くが50Hzを採用。 |
ちなみに、日本だけ2つの電力周波数(Hz)が存在しています。これは明治時代に外国産の発電機を輸入するときに、東日本ではドイツ製(50Hz)と西日本ではアメリカ製(60Hz)が広まったことが原因とされています。
回転式シャッター(シャッターアングル)という考え方
「シャッターアングル」という概念は、フィルム時代の映画制作初期に生まれたものです。これは、シャッタースピードを角度で表す方法で、回転式シャッターが使われていた時代に広まりました。
従来(写真機)の上下に動くシャッター幕では、露光がフィルム全体に均一に行き渡らないことがあり、特に動きの速い被写体では、露光の不均一が目立つことがありました。さらに、シャッター幕を動画撮影用に高速で動作させると、機械的な負担が大きくなり、精度を保つのが難しいという問題があったたと言われています。
回転式シャッターは、これらの課題を解決するために生まれた仕組みです。円盤状のシャッターが回転することで、露光と遮光が交互に行われます。

例えば、180°のシャッターアングルは、フレームレートの倍のシャッタースピードに相当します。現在ではデジタルカメラにもこの設定を採用しているモデルがあり、撮影環境に応じてより直感的に調整が可能です。
回転式シャッターの登場は、映画撮影の標準を確立し、映画業界全体に大きな影響を与えました。特に「シャッターアングル」という概念が普及し、現在でも多くのデジタルシネマカメラに引き継がれています。
NDフィルターの重要性
日中の屋外撮影では、適切なシャッタースピードを維持するためにNDフィルターが欠かせません。特に、フレームレートの倍のシャッタースピードを保ちつつ、明るい環境で撮影する際には、光量を制御する必要があります。
NDフィルターは、シャッタースピードや絞りを変えずに光量を減少させることで、理想的な映像のバランスを保てる便利なツールです。NDフィルターの選び方については、過去記事「動画用NDフィルターの選び方」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

まとめ
シャッタースピードは動画撮影の基礎でありながら、映像のクオリティや雰囲気に直接的な影響を与えます。フレームレートとの関係を理解し、フリッカー対策やシャッターアングルの活用を意識することで、よりプロフェッショナルな映像を撮影できます。
さらに、NDフィルターを活用すれば、外光の影響を抑えながら意図した表現が可能になります。これらの知識を実践し、映像制作をより楽しんでください。

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